「愛」 -レンタル彼氏-【完結】
「千里っ!!」


ヒールなのに必死で俺の元へ走り寄るくるみ。


「お待たせ!!」


はあはあと、肩で息をしながらくるみは俺に笑顔を向ける。
それに俺は静かに笑みを零すと、

「お疲れ」

そう、言った。


「あ、笑ってる。千里ーーー!!!」


俺が笑った事が嬉しいのか、急にくるみは俺に抱きつくと髪の毛をわしゃわしゃと弄る。
そんなくるみの体を腕で押し退けようとするが、くるみの抱擁は止まらない。


「まじ愛い奴。まーじで」

「いつの時代の言葉だよ、っつか、放せ」

「むーりー千里、むーーーりーーーー」

「はあ!?」

「千里、かーわーいーい」

「嬉しくねえっつうの!」

「あははは」


何だ、本当に。
くるみといると、全てが馬鹿らしくなってくる。


それは否定的な意味合いでなく、前向きな意味で。
俺が自然と笑ってしまうなんて事。

ほとんどなかったから。


笑う事はあったけど、それは仲間と過ごす為の愛想笑い。


だからこそ、くるみは居心地がいい。
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