「愛」 -レンタル彼氏-【完結】
たくさんの女が俺に、そう尋ねたから。

俺がくるみの質問に答える事はなくて。
いつの間にか、時間は経ち俺達の順番になっていた。


店員に呼ばれて、席へと案内される。
テーブル席に向かい合わせで俺とくるみは腰かけた。


「さ、食べよう!千里、何がいいかなあ」


さっきまでの気まずい雰囲気を払拭する様に、くるみは明るく言う。
いつまでも引きずる訳にはいかないと、俺も思ってたからくるみの言葉に乗る様に返事をした。


「…納豆巻き」

「は!?」

「いや、だから、納豆巻き」

「何でよ、こんなに王道のマグロとか、サーモンとかあるのに。
いくらだっていいよ?
巻物なら、鉄火巻きだってあるし。
どうして!」


くるみは俺の返答に未だ、納得がいってないようだ。
それでも構わない。
俺は納豆巻きが食いたいんだ。

一つ、息をつくとくるみはふふっと笑った。


「しょうがないなあ。
じゃあ、注文しよっか」


そう言うと、どこか嬉しそうに納豆巻きをタッチパネル式の注文一覧から探す。
「あったあった」と笑みを零し、一緒にくるみも食べたいモノを選ぶと注文をした。
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