「愛」 -レンタル彼氏-【完結】
「昔、遊んだんだ」
「ふーん」
「座ろうか?」
「……」
くるみは黙った俺の手を引くと、公園に入ってすぐ左にある木製のベンチへと進む。
二人して腰かけると、くるみは俺の方へと少し体を向けた。
「千里」
「……」
くるみはそっと、俺の手へと自分の手を伸ばす。
俺の手に感じるくるみの体温。
払いのける事も出来たけど、その体温を…俺は感じていたかった。
人なんて、当たり前だけど誰もいなくて。
静寂の中、くるみと俺は視線だけ絡めた。
「千里」
再度、くるみは優しい声で俺の名前を言う。
俺の名前がこれほど、綺麗だと思った事はない。
「くるみ」
「……あははっ」
ピンっとした空気を切り裂く様に、くるみはケタケタと笑い出した。
俺の手を握り締めたまま。
わけがわからず、俺はくるみをじっと見る。
ひとしきり笑った後、くるみはまたそっと俺に視線を送った。
空いている手を、ゆっくりと俺の頬へと伸ばす。
軽く指を動かしながら、撫でる様に滑らした。
くすぐったいようなその感覚に俺は目を細める。
「ふーん」
「座ろうか?」
「……」
くるみは黙った俺の手を引くと、公園に入ってすぐ左にある木製のベンチへと進む。
二人して腰かけると、くるみは俺の方へと少し体を向けた。
「千里」
「……」
くるみはそっと、俺の手へと自分の手を伸ばす。
俺の手に感じるくるみの体温。
払いのける事も出来たけど、その体温を…俺は感じていたかった。
人なんて、当たり前だけど誰もいなくて。
静寂の中、くるみと俺は視線だけ絡めた。
「千里」
再度、くるみは優しい声で俺の名前を言う。
俺の名前がこれほど、綺麗だと思った事はない。
「くるみ」
「……あははっ」
ピンっとした空気を切り裂く様に、くるみはケタケタと笑い出した。
俺の手を握り締めたまま。
わけがわからず、俺はくるみをじっと見る。
ひとしきり笑った後、くるみはまたそっと俺に視線を送った。
空いている手を、ゆっくりと俺の頬へと伸ばす。
軽く指を動かしながら、撫でる様に滑らした。
くすぐったいようなその感覚に俺は目を細める。