「愛」 -レンタル彼氏-【完結】
「信じるよ」


俺がそう告げると、くるみは嬉しそうに目を細めた。


それから、くるみが色々話してくれるのを相槌打ったりして聞いていた。

くるみの家に到着するのはあっという間で。
あまりにも早くて、もっともっと一緒にいたいと思った。


10階以上はあるだろうマンションの入口前に立つと、くるみは離れる事が名残惜しそうに俺を見上げる。


「千里、送ってくれてありがとね」

「うん」

「また連絡するね」

「わかった」

「千里も連絡してね」

「ああ」

「……それじゃあ」


矢継ぎ早に言葉を発するくるみは、一瞬間を空けると眉を下げ消え入りそうな声で呟く様に言う。
俺も同じ様に眉が下がりそうだったが、それをどうにか抑えてくるみに笑みを向けた。


「それじゃあ」


また会えるから。


明日でも、明後日でも。
会おうと思えば会えるから。


くるみがマンションの中に入るまで見送ると、くるっと振り返り帰路についた。
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