「愛」 -レンタル彼氏-【完結】
「ししし」


くるみは俺の腕に自分の腕を絡めると、また可愛くない笑い方をする。
そんな可愛くないとこが、可愛いと思えてしまえるから俺は馬鹿なのだろう。


「今日はどこ行こうか」

「そうだなあ…」

「あ、私の部屋でも来る?」

「は」


くるみの思ってもない提案に俺は目を真ん丸にした。

…部屋って、わかって言ってるのか。否か。
いや、きっとくるみの事だからわかってないだろう。

思春期の男って事を、くるみがわかってて言ってる様には到底思えない。

だって、そんなとこに惹かれたのだから。


「たまにはお家でご飯もいいんじゃないかな」

「…そうだな」

「じゃあ、私何か作ろうかな」

「作るの?」

「え、嫌?」

「あ、そうじゃない…」


母親の手作りご飯は毎朝食べていたけど、一緒に誰かと食卓を囲むって事をしてなかったから。
母親は仕事で俺のご飯を作ったら、すぐに出て行ってしまってたし。
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