「愛」 -レンタル彼氏-【完結】
それから、色々探る様に西園寺は吏紀の体を調べて行く。
左のズボンのポケットに手を突っ込んで、何かを見つけた西園寺は

「……なるほどな」

そう、ぼそっと呟いた。

見つけたモノが何かは俺にはわからなかった。


それから西園寺は吏紀の髪の毛をがしっと掴むと、エレベーターから外へと引きずりだした。
そのまま、壁へと打ち付ける。


急なその行動に、俺は目を見開いた。


「ぐっ…」

痛みから呻く吏紀。
西園寺は、その吏紀の腹に漆黒の革靴をめり込ませた。
食い込んでいく革靴と共に、吏紀の声もあがる。


「これをどこで手に入れた?」


今までに聞いた事もないぐらいに冷たくて低い声だった。


「……何の、事…」


しらばっくれる吏紀の腹から足をどかすと、それは床につくことなく吏紀の顔面を強打した。
どさっと床に倒れ込む吏紀にまた、西園寺は蹴りを入れる。


「……吏紀」


話しかけながらも、止まることのない暴行。
俺は何も出来ずにそれを食い入るように見る事しか出来なかった。
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