「愛」 -レンタル彼氏-【完結】
なんつーか。
クールと言うか。



「千里も変なおっさんに話しかけられたのー?」

「変なおっさん……、ああ、西園寺さん?」

「さいおんじって読むの?あれ。俺、にしえんてらだと思ってた」

「………」


吏紀の知能指数は低いらしい。
短い間にそれだけはわかった。

だから、誠が話に耳を傾けないのかもしれない。


「吏紀って、本当にバカー。普通そう読まないだろー」

聖は腹を抱えて笑っている。
そんな聖に何ー!?と言って吏紀は怒っていた。

…騒々しい奴ら。


早く仕事の話聞いて、それからバイト向かいてえんだけど。


そういや、さっき俺を部屋に案内したぽっちゃりした男の姿が見えない。
どこ行ったんだ。


そんな疑問を持ってから、五分ほどした後。
あの男が部屋に入ってきた。


「お待たせしました。社長の元へ案内します」


そいつの顔は心なしか、強張っていた。
何でだ、社長って西園寺だろ?
確かに危ない感じはするけど、そこへ案内するだけでそこまで緊張するか?
< 20 / 302 >

この作品をシェア

pagetop