「愛」 -レンタル彼氏-【完結】
「吏紀は様子おかしかったのわかってた。
だけど、伊織まで…。
知ってるなら教えて」

「……知らない」

「千里、嘘つかないでよ」


呆れたように笑うと、聖は横目で俺を見た。


「………吏紀は…辞めた。
それしか知らない」

「……あ、そ。
あくまで教えないつもりなんだ」

「本当に、伊織については何も知らない」

「じゃあ、吏紀が辞めた理由は知ってるの?」

「………」


ハッキリ、見たわけでもないが。
あそこまで様子がおかしいのは…ドラッグとしか考えられない。
西園寺が吏紀の衣服を調べて見つけたモノはきっと、薬だったに違いない。

そして、吏紀がいなくなってすぐに何も言わずに伊織は消えた。
西園寺も、佐々木もそれについて詳しく話そうとしない。


だから…きっと、伊織もそれに関係しているのだろう。


伊織も“処分”されてしまったのだろうと。


「美佳にも聞いたけど、何も知らないって言ってた。
社長も、佐々木も。
そんなわけあるかよ。
いきなり同僚が二人も消えて、何もないわけあるかよ!」
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