「愛」 -レンタル彼氏-【完結】
駅前に到着すると、聖はお目当てのショップに行き上機嫌に洋服を選んでいた。


その姿を見ながら、ホッとする。


もっと詳しく突っ込まれたら…どうしたらいいのかわからなかった。

ドラッグ中毒だった事はきっと、知らせない方がいい。
聖はそんな事するとは思えないけども。


「見て、千里!このデニムやばくない?試着していい?」

「好きにしろよ」

「へへ、じゃあしてくる~」


レジには着るには十分過ぎるほどの洋服が置かれている。
まだ買うというのか。

聖は本当にJUNが好きなんだな。


一つのモノに執着するって感覚が俺にはわからないけど。


「千里ー」


着替えたのか、聖は試着室から出て俺を呼ぶ。
近くに行くと、ノンウォッシュのデニムを履きこなしてる聖がいた。

聖身長は低いんだけど、洋服何でも似合うんだよなあ。
感心してしまうほど。

本当にモデルとか、芸能人になってもおかしくはない。


「どうかな?」

「いいんじゃね」

「本当?」

「ああ」

「凄く似合ってますよ~」


俺と聖の間に混じって店員が聖にそう言った。
聖はゆっくり一回転してシルエットを確認すると、

「うん、決めた!」

そう言って笑顔になった。
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