「愛」 -レンタル彼氏-【完結】
「買うわ!」
「ありがとうございます、新しいの用意しますね」
店員はそう言うとデニムを用意しに向かった。
「どんだけ買ってるんだよ、聖」
「買えるだけ」
「だよなあ」
「俺の最高のストレス発散」
「ストレス?」
「うん。ストレス。じゃ、脱いで来るね」
「…ああ」
意外だった。
聖にだって悩みの一つや二つ、あったっておかしくはない。
だけど、聖はそんな悩み笑って流しそうなイメージがあったから。
だから、ストレスって言葉が最高に似合わないって思った。
Sランクで、レンタル彼氏で。
そんな聖にだって、悩みはあるはずなんだ。
生きてるのだから。
「付き合ってくれてありがとー!
お礼に飯おごるよ」
聖は両手に紙袋を提げながら、笑顔でそう言った。
「何が食べたい?」
「何でもいいわ」
「そう?じゃあ、がっつり行こうよ」
聖に案内された場所は、駅ビルのレストラン街にある食べ放題だった。
客以外と外食しない俺は、あまりこういった処には入らない。
一人ならコンビニなどで済ますから。