「愛」 -レンタル彼氏-【完結】
席について、一通り好きなモノを持ってきて食べ終えると、グラスに残っていたオレンジジュースを飲み干した聖はぽつりと呟く。


「…俺、ショックだったんだよね」

「え?」


突然で、意味が分からなくて目をぱちぱちとさせる。
俺を見ないまま、聖が続けた。


「…吏紀の事…友達だと思ってたし、一番仲良しだと思ってたから…」

「………」


それは、俺もそう思ってたよ。
このレンタル彼氏という閉鎖された空間の中で、聖と吏紀の間には確かに友情があったと思う。


「辞めた理由もわからない。
辞めてから連絡すらつかない。
こんなの、酷くね?」

「……ああ」


それからも聖は愚痴混じりに俺に吐き出した。
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