「愛」 -レンタル彼氏-【完結】
―――――――――……


「まだ買うのか?って。そんな顔してる」


俺の両手にはたくさんの紙袋。
その前を歩く愛が立ち止まり、そう言った。


「……好きにしたらいい」

「うん、好きにする!」


じゃあ、言うな。

まあ、そんな事昔からだからわかってるけども。


週一か、二ぐらいのペースで愛は洋服や、靴や、アクセなどを大量に買う。
色々な事の鬱憤を買い物で晴らしてるのはわかってた。
だから、何も言わなかった。


「なんかさー」


愛はショーウィンドウにディスプレイされてるマネキンを見ながら、話し出す。


「昨日、私っぽくなかったよね」

「何が?」

「ヤキモチみたいな事して、千里引っ叩いて」

「…そうか?」

「…私、そんなヒステリー?」

「いや、そんな意味じゃないけど」


確かに、愛が誰かといたからって怒るのは珍しかった。
不特定多数と関係を持ってる事は、知ってるはずだから。

< 222 / 302 >

この作品をシェア

pagetop