「愛」 -レンタル彼氏-【完結】
「よく、わかんないんだよね」

「……何が?」

「何ていうか…千里が盗られちゃうような錯覚というか。
そんなモノに昨日は襲われた」

「は?」

「わかんないんだよ、私も。
だけど、なんかあの子はそう思えたの」


愛海に?
俺が盗られる?

意味がわからない。

俺は誰のモノでもないのに。


「一人になって、少し冷静になったら。
千里に会いたくなった」


そう言いながら、愛は俺の目の前まで来るとつま先立ちをして口付けをした。
公衆の面前で堂々とキスするな。


愛はそういうのを全く気にしない。
世間体とか、バカらしいと思っている。

令嬢なのだから、一応気にした方がいいだろうと俺は思うけど。


「いつでも会いたくなったら会いに来たらいい。
俺は愛が望むようにするから」

「………うん」


俺がそう言うと、愛は少し間を空けてから頷いた。


それからもたらふく買い物して満足した愛は全部それを配送させると、家に帰ろうかと俺の手をとった。
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