「愛」 -レンタル彼氏-【完結】
翌日、ばっちしとメイクをした愛は早々に俺の部屋を後にした。

今、何時だ。


…朝の七時。

愛も大変だな、色々。


再度寝てたようとした俺の目に携帯がうつる。
手に取って確認すると、新着メールが届いていた。


誰だ…?


差し出し人は愛海だった。


【千里。

明日お時間ありますか?
話したい事があります。
      愛海】


なんだ…?
改まって。

俺は訝しげな顔でそれを見つめる。
届いたのは昨日の夜中だ。

愛といたから気付かなかったのだろう。


「…めんどくせえ」


携帯と自分の体をベッドに放りだすと、俺はそのまま思考を停止した。


それから俺が目を覚ましたのは昼を過ぎた辺りだった。
寝ぼけた頭を抱えながら、洗面台まで向かう。

顔を洗ってから、俺は「あ」と呟いた。


タッパ、白井さんに返さないと。
愛と食べ終わった後、洗ってはおいた。
だけど、返却は愛が帰ってからでもいいだろうとそのままにしていた。


頻繁に家に訪れるから愛を見た事はあるだろうけど、それでも一緒に行くのは気が引ける。


返しに行くか。
この時間だ、部屋にいるだろう。
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