「愛」 -レンタル彼氏-【完結】
「ああ、まあ、それは客が支払う金だから君達に入るのは経費、寮費、全てを抜いて一千万が入る」

「ちょ、ちょっと待って。
経費とかはわかる。だけど、寮費って何?」


聖が一歩前に出ると、社長に噛みつくように質問する。
その聖を西園寺はにやっとして見た。


「君達にはこのマンションに住んでもらう。
もう契約もした」

「はああっ?!」


西園寺の言葉に皆びっくりしている。
一番反応が薄いのは一番奥にいた伊織だった。


誠ですら、動揺しているのか驚きを隠せていない。
なのに、伊織はさっきと変わらず涼しい顔をしている。

…知っていたのだろうか。



まだ吏紀と聖が文句を言っているのを、社長が低い声で一喝した。


「…行くところ、お前らにあるのか?」


それに皆がハッとして口を噤む。
少しの沈黙の後、吏紀は西園寺に縋りつくように言った。
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