「愛」 -レンタル彼氏-【完結】
「ずっと会いたかったから、再会出来た時は嬉しくって。
お母さんには内緒でよく会ってた」


思い出しているのか、嬉しそうに目を細めながら愛海は話す。


「よくね、彼氏の話も聞いてた」

「………」


ドキンと心臓が跳ねる。

愛海は真っ直ぐに俺を見つめた。



「千里。貴方の話をよくお姉ちゃんから聞いてた」

「………」


ザワザワと、心がざわめく。
俺の奥底に封印していた記憶を呼び戻されそうで。


「写真も見てたし、お姉ちゃん、本当に嬉しそうに話すからさ。
こっちまで幸せな気持ちになっちゃたりして」

「…やめろ」

「え」

「やめろ!!!くるみの話はするな!!」


急にでかい声を出した俺に、愛海はびくっと肩を揺らす。
目を真ん丸にしたまま、俺を見る。


俺ははあはあと、痛む胸を抑えながら顔を手で覆う。


「あいつは俺を裏切った。
思い出したくないんだ」

「裏切る…?」


俺の言葉に、愛海は訝しげな顔になった。
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