「愛」 -レンタル彼氏-【完結】
「そうだ。あいつは他にも男がいた。
嬉しそうに男と腕を組んでいた写真を見た。
その前にも男といるのを見た。
信じていたんだ。
俺はくるみを信じていた」

「それ、お姉ちゃんに聞いたの?」

「いや…その前にくるみは死んだ」

「………」

「死人に口なし。俺はあいつに怒る事すら出来なかったんだよ」

「そんなわけない!お姉ちゃんは本当に千里が大好きだった!」

「じゃあ、何で浮気なんかするんだよ!!!」


その言葉に愛海は口を噤む。


「…で?」


その時の俺は酷く冷たい目をしてただろう。


くるみの妹だとはわかった。
だけど、俺を千里と知って、愛海は一夜を共にした。


何だよ。
お姉ちゃん大好きって言いながら、その元彼と関係持つか?

結局、愛海もそこら辺の女と同じってわけだ。


「目的は何?」

「……」


口を噤む愛海に溜め息をつく。
思い出したくないんだよ。
くるみの事なんか。

あれから、俺は女を愛せないのだから。
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