「愛」 -レンタル彼氏-【完結】
「…正直、来てくれないと思ってた」


愛海はそうぽつりと呟く。


「まあ…俺も行きたいとは思ってなかった。
でも、いい加減清算したかったからな」

「……」


俺の言葉に愛海が頷くと、それ以降はお互い何も言葉にしなかった。
数分して目的地の霊園に到着すると、愛海に誘導されるまま進む。


「ここ」


そう言って、愛海が立ち止まる。
少し後ろから歩いていた俺は、その墓をゆっくりと見た。


宝田と書かれた墓石。


「お線香とお花買ってくるね」


俺一人を置いて、愛海はこの場を立ち去る。


「………」



足が動かない。
今まで、くるみが死んでたって事実を受け入れてたと思っていた。


だけど、こうやって目の当たりにして初めて“死んだんだ”って実感する。
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