「愛」 -レンタル彼氏-【完結】
「くるみ…」
そして、それが途方もなく辛いって事も。
死んでしまったら。
笑う事も。
怒る事も。
愛し合う事も…
出来ないじゃないか。
一歩一歩、どうにか足を踏み出す。
墓前まで行くと、そっとくるみが眠るその石を撫でた。
「……ふ…」
なあ、くるみ?
幸せだったか?
俺に愛されて…幸せだったか?
俺は初めて本当に愛を見つけたと思って、幸せだった。
まだ、幼かったけど。
でも、一生懸命恋してた。
「千里ーーーー!」
遠くから愛海の声がして、俺は静かに振り向く。
そして、その姿を見て誰にも聞こえない様に呟いた。
「……お前の姉ちゃんは…幸せだったな」