「愛」 -レンタル彼氏-【完結】
「お姉ちゃんは…千里を愛してたでしょ…??」
「ああ、愛してたな」
「……、よ、かった…」
「……」
愛海はぼろぼろと涙を溢す。
手に持っていたハンカチを目元に押し当てながら
「お姉ちゃんは…千里を、本当に…愛してたから…」
またそう言う。
俺は愛海の頭をぽんぽんとしてから、ゆっくりと抱き締めた。
「また、墓参り。行くわ」
「……う、ふっ、うぅ…」
コクコクと何度も俺の腕の中で頷きながら、愛海は泣き続けた。
俺の愛した、たった一人の女は。
最期まで綺麗だった。
俺がどこまでも汚くなってしまっただけで。
彼女は、綺麗だった。