「愛」 -レンタル彼氏-【完結】

「お姉ちゃんは…千里を愛してたでしょ…??」

「ああ、愛してたな」

「……、よ、かった…」

「……」


愛海はぼろぼろと涙を溢す。
手に持っていたハンカチを目元に押し当てながら


「お姉ちゃんは…千里を、本当に…愛してたから…」


またそう言う。

俺は愛海の頭をぽんぽんとしてから、ゆっくりと抱き締めた。


「また、墓参り。行くわ」

「……う、ふっ、うぅ…」

コクコクと何度も俺の腕の中で頷きながら、愛海は泣き続けた。


俺の愛した、たった一人の女は。


最期まで綺麗だった。


俺がどこまでも汚くなってしまっただけで。

彼女は、綺麗だった。


< 252 / 302 >

この作品をシェア

pagetop