「愛」 -レンタル彼氏-【完結】
情事を終えた後、タバコを吸う為に愛は起き上がる。
その後ろ姿を俺は見つめた。


カチっとライターで火を点けると、タバコの煙が愛の頭辺りからあがる。
愛は少しだけ俺の方に視線を寄越すと、ふふっと笑みをこぼした。


「今日の千里、何か私の事愛していたよね」

「は」


…愛してた?


意味不明。
理解不能。


眉を顰めると、愛はくっくっと笑った。


「寂しかったのかなー、と、思った」


そう言って、タバコを口に咥えるとニヤっとする。

寂しかった?
俺が?

愛がいなくて?

騒がしくなくて、確かに暇ではあったけど。



「わかんね」


それに愛はおかしそうにふふっと笑った。


「私がいないと千里は無理ね」

「それは愛もじゃないのか?」

「ふふ、凄い自信」

「そうか?
愛は俺に愛情に似たモノを求めてると思ったから」


でなきゃ、レンタル彼氏を辞めた俺にいつまでも執着するわけがない。
お金があろうと、なんだろうと、普通に接してくれるのは俺だけだろうから。

風太は。

もう、二度と愛の手には入らないのだから。
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