「愛」 -レンタル彼氏-【完結】
腰を曲げてベッド脇を探すが、見つけたのは真新しい携帯一台のみ。

俺の使い古した携帯はどこにも見当たらない。
ベッドかと思って、布団をひっくり返してみるが見当たらない。

仕方ない、佐々木に聞くか。


「……佐々木、携帯ねえんだけど」

「え?…あ、持ってるじゃないですか。それ、携帯ですよ」


そう言って、佐々木は俺の手に持っている真新しい携帯を指した。


「はあ?ちげえから。俺の携帯じゃねえだろ」

「昔の携帯なら社長が処分しました」

「………ああ!?何でだよ!?」

「ひっ、そう言われても…僕にはどうにも…。
社長が処分すると言ったから渡したまでで…」

「意味わかんねえんだけど。西園寺は?話せるのか?」

「……今、外に出てます」

「くそっ」


ガンと壁を殴ってから、俺はその場にしゃがみ込む。
俺の携帯がなくなったって、どういう事だよ。

そして、ハッと気付いた俺は顔を上げる。


「じゃあ、財布もか?」


少し怯えた佐々木は、おどおどしながらそれに答えた。
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