「愛」 -レンタル彼氏-【完結】
暫く呆けた後、テーブルの上に投げた俺のモノらしい携帯を手に取った。
真新しい携帯。

指紋が付かないように、液晶にはテープが貼ってある。
色々、触ってみるがメモリーは0件。
データはもちろん何もない。

…何だ、まるで人生リセットされたみてえじゃねえか。


俺は俺の知らない生活を始めようとしている。



明日からどうなるのかわからない恐怖。


月、2000万。

そういや…。

佐々木がマニュアルがあると言ってたな。
やるやらないは置いておくにしろ、とりあえずそれに目を通すか。


ベッド脇からファイルに入った資料を持ってくると、またソファに座った。
そして、一枚一枚見ていく。


『レンタル彼氏について』

女性を喜ばせる為に精を尽くして下さい。
彼女達の理想の彼氏になる為に、最初に当スタッフから説明が入ります。
その説明を受けた後、貴方自身の彼氏で彼女達を楽しませるよう努めて下さい。
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