「愛」 -レンタル彼氏-【完結】
【愛、ごめん。
最近、愛に会えなくて寂しかったんだよ。
許して。
   千里】


今日、俺の頬を叩いて出て行ってしまった女にそうメールを送る。
別にこのまま切れてしまおうが、構わなかった。


でも、愛はレンタル彼氏を始めた時ぐらいからの付き合いだ。
情なんてモノなかったけどね。


すぐに震える携帯。
相手はもちろん愛だ。


【千里は私じゃなくてもいいんでしょう?】



……愛じゃなくてもいい、そうじゃない。


誰が来てもダメなんだ。
俺はわからないから。

「愛」というものが。


母親に売られてしまって、それは更に理解出来ないものとなったから。



恋愛感情、なんてもの理解出来なかった。
だけど、母親からの愛情ならわかっていると思っていた。
それを確かに貰ってたんだと、そう思ってた。

だけど、全てあの日に壊されたんだ。


そこからは何もかもがわからなくなってしまった。
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