「愛」 -レンタル彼氏-【完結】
まさか、実の母親に売られるなんて思わなかったよ。
つか、誰も思わねえだろ。

親ってものは、無条件に信頼出来て、愛情をくれるもんだって思ってたんだから。


【んな事ねえよ。
愛が必要だ。】


カチカチと、そんな嘘のメールを送る。
愛だって、きっと俺に愛情がない事をわかっているはず。

だけど、離れられないんだろう。


財閥の娘で、お金で何もかもを手に入れて来た愛。
だから、お金で繋ぎとめる事しか…出来なかったんだ。


全てお金で買えると思っている俺からしたら、そんな愛の気持ちは理解出来たし、共感した。
愛と離れなかったのは、きっとそんな理由。

こんな関係の方が、俺は愛情を感じてしまっていたから。


その時点で、俺はおかしいのにな。



【明日、会いたい。】


その愛からのメールを見て、俺は待ってるとだけ返信すると携帯を閉じた。
それから、ポケットに入れていたミントガムを一枚口に入れる。


信じられるモノが…。

自分と、お金しかないだなんて。
俺って寂しい奴。


だけど、それ以外は裏切るから。
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