「愛」 -レンタル彼氏-【完結】
あははっと明るく笑うと、白井さんは「また後でね」と言った。
それに俺も頷くと、自分の部屋へと戻った。


自分の部屋の鍵を開けて、中に入る。
玄関には女モンの靴。


………誰だ。



部屋に上がり、リビングに行くとそこにいたのは。


「あっ、千里。お帰り~」


数時間前に出て行ったはずの女。


「………鍵は」

「えへ。大家さんに開けてもらっちゃった」

「…………」


はあ、と溜息をつくと俺はその女に話しかける事なく、スーパーの袋をそのまま冷蔵庫に入れた。
あたかも、自分の部屋の様に寛ぐ女。

冷蔵庫に入れて戻った俺を見上げると、笑顔で話し出す。


「大家さん、ちょーいい人だねえ。
千里の話したら、にこにこしてた」

「……で、何でここにいる」

「え?」


憮然としたまま、俺がそう言うと女はキョトンとした顔を見せた。


「明日、って言ってなかったか」

「あー、うん。そうなんだけどね。……迷惑だった?」


さっきまでの笑顔は消え去って、眉を下げて不安そうに俺に尋ねた。
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