「愛」 -レンタル彼氏-【完結】
暫く経って、愛海の涙も止まった頃。


ピンポーンと、俺の部屋のインターホンが鳴った。


顔を上げて俺を見る愛海。
涙で化粧ぐちゃぐちゃだ。ひでえ。


「…鏡」


一言、そう言うと愛海はハッとして顔に手をやった。
その隙に俺は玄関へと向かう。

きっと、白井さんだろう。


ドアノブを捻り扉を開けると、笑顔の白井さんが立っていた。
手には大きなタッパ二つ。
…俺も、そんな食えねえよ?


「千里君、ごめんね、邪魔しちゃって!」

「え」

「彼女でしょ、可愛いわねえ、本当っ!」

「……いや、彼女じゃあ…」

「あ、これ!煮つけ!煮物もたくさん作っちゃったから!」

「……すみません」

「いいのいいの、彼女と食べてね!それじゃあ」

「…ありがとうございます」


結局、彼女と誤解されたままだけど別にいいか。
今度弁解しとこう。

それにしても、腹減った。


おにぎり、買って来るかな。
さっき、買ってくればよかった。


そう考えながら、二つのタッパをリビングへと持っていく。
そこへ戻ってきた愛海。
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