「愛」 -レンタル彼氏-【完結】
「ねえ、千里って好きな食べ物って何?」

「特にない」

「えええ?」

「強いて言うなら…米」

「何それ、米って抽象的すぎる」

「まーとりあえず何でも食えるよ。嫌いなものはない。
好きなものもないけどってだけ」


それに何か考え込むような仕草を見せる愛海。
何か考えているんだろうなと、気にしない俺。

コンビニが見えてきた辺りで、唐突に愛海が話し出した。


「千里を胃袋でゲットするのは無理…なのかな」

「…は?」


何だ、それ。


「男を掴むなら胃袋、とか言うじゃん」

「知らねえけど」

「だけど、千里料理じゃ釣れなさそうだし」

「……」

「うーん、どうしたら好きになって貰えるだろうかって考えてるの」

「なあ、愛海」

「え?」


俺は足を止めると、愛海を見る。と、同時に愛海も足を止めた。
< 54 / 302 >

この作品をシェア

pagetop