「愛」 -レンタル彼氏-【完結】
「でも、私と作ろうね」

「は?」

「幸せってのは訪れるモノって言うけど、作る事も出来るんだよ」

「…何それ」

「私の持論。…つーか、大切な人の?」

「大切な人?」

「うん、私の大切な人が言ってたんだ」

「へえ、それはめでたいな」


軽く、俺がそう言うと愛海はバッと顔を上げて俺を見た。
そして、切なそうに顔を歪める。



「聞いた事ない?」

「…ない」

「そっか、ないかあ」

「何だよ、それ」

「ううん、何でも。あ、これも追加しよっと」


ぱっと、愛海は陳列されていた一口サイズのチョコを取る。
そして、それをカゴに入れた。


「…太るぞ」

「いいのっ」

「そう、ならいいけど。モテねえよ?」

「千里、後で覚えておいてね」

「知らねえな」


軽く笑ってやると、愛海は頬をぷうっと膨らませた。
愛海の年知らねえけど、ガキみてえ。
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