「愛」 -レンタル彼氏-【完結】
会計を済ますと、コンビニを後にした俺達。
俺が全額払う気だったのに、愛海が私も払うと聞かず強引に千円を出した。

お釣りは愛海に持たせたけど。
でも、そのお釣りを全て愛海は募金箱に入れていた。


これで千里と一緒、などと意味わからない事を言いながら。



「持つよ、私も」

「別にいい」

「いいのっ」


そう言って、強引に俺が持っていたビニール袋の持ち手を片方だけ持つ。
歩くスピードが違うから、かなり持ちにくい。

だけど、愛海はとても嬉しそうに微笑んでいる。


「千里、今度遊園地行こうよ」

「却下」

「ええ、どうして?」

「人混み嫌い」

「平日行けばそんないないよ」

「子供も嫌い」

「ええ……」

明らかに落胆する愛海。
そんな様子が面白くて、ついからかいたくなる。

どこまでも素直に反応する彼女は羨ましい。


「くく、嘘。子供嫌いではない。だけど、苦手」

「じゃ、遊園地行く?」

「嫌、俺遊園地嫌い」

「何で?」

「色々ね」

「…そっかあ…。嫌な思い出?」

「微妙」


俺がそう答えると、また愛海は切なそうに顔を歪めた。
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