「愛」 -レンタル彼氏-【完結】
「これ、手作り?」

「ああ、大家のな」

「ええ?大家って女?」

「くくっ、おばあちゃんだよ。安心しろよ」

「でもなー千里、年上キラーだからな~」


ふふっと愛はそう言いながら笑うと、ベッドから降りる。
散らばった衣類の中から上だけ羽織ると、愛は電気を点けた。


「真っ暗で食事とか、まずくなるよ」

「愛、起こしそうだったからな。
それにそんな暗くなかった」

「暗い暗い。一緒に食べよっ」

「ああ」


愛はパタパタと台所に向かうと、自分の分のお箸とお皿を持ってくる。
そして、俺の目の前に座ると手と手を合わせて「いただきます」と言った。


「すっごく美味しそう」


お箸を手に、愛の目は料理を見てキラキラしている。



「……おにぎり食うか」

「うん、食べる」

「鮭と梅どっちがいい」

「う~ん、梅」

「ん」


梅のおにぎりを差し出すと、愛は受け取り「ありがと」と笑った。
それから、煮魚に箸をつける。

一口食べて、顔を綻ばせた。
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