「愛」 -レンタル彼氏-【完結】
愛も、俺と同様。


「愛」がわからないんだ。


お金でしか、愛を貰えないなんて。
両親からは、ハグでなく、お金を貰っていたと言っていた。

そして、そのお金でありったけのおもちゃを買った。
そうしたら、友達がたくさん出来た。

そのお金でありったけのオシャレをした。
そうしたら、男からたくさん告白された。


それが全て。
お金のお陰だと気付いた時の、彼女の絶望を考えると胸が痛んだ。


「ご馳走様!」


愛と俺は白井さんから貰った料理を半分以上平らげると、食事を終えた。


「お腹いっぱいだね」

「そうだな」

「じゃあ、寝ようかな」

「寝るのか」

「うん、もちろん千里も、ね?」


さっきまで、あんなにも愛し合ったのに。
まだ足りないのか、愛は俺の首に腕を絡ませて深いキスをした。

流れのままに愛の体を抱き締める。
薄いシャツ一枚で、すぐに感じる愛の体温。


………俺も大概、物足りていないみたいだ。


俺は愛の背中とお尻に腕を回すと、抱き上げてベッドに運ぶ。
小さく悲鳴を上げ、吃驚している愛。


「ふふ、お姫様抱っこ」


嬉しそうにはにかむ愛をベッドに下ろすと、そのまま愛に重なった。
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