「愛」 -レンタル彼氏-【完結】
「そう、今」

「っつっても…俺、車免許ねーけど」

「はあっ!?まじであり得ない!
じゃあ、今度までに取っておいてね!」

「……はあ」

「返事ははいでしょっ!」

「…はい」

「しゃーないな。じゃあ、迎え行くわ」

「ああ、うん」

「嬉しくないの!?」

「…嬉しいです」

「そうでしょ!どこ行けばいいの?」


簡単に寮の前を説明すると、新しいマンションだったからか、愛はすぐわかったみたいで了解と電話を一方的に切られた。
電話を切ってから、一気に静まりかえる部屋。

…なんだ、この嵐が去った後みたいな感覚は。


それにしても、何て身勝手な女。
びっくりするぐらいに身勝手。

まあ、こんな我儘がいてもおかしくないよな。
金持ちで、甘やかされて育ったならそうなるのかも。


俺の金持ちの印象は、そうだった。

金でモノを言わせる。
――――…西園寺みたいな。
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