棘姫
『李羽ー。
もう家出ないと遅刻するよー?』
まだ朝だというのに、一階からお姉ちゃんが大声で私を呼ぶ。
「今、着替えてるのー」
私も負けじと声を返した。
恭哉と由愛。
一度に2人の事を考えたせいで、昨日はあまり寝られなかった。
窓から恭哉の部屋が見える。
カーテンは開いていた。
恭哉と私は毎朝、一緒に登校していた。
これは小学校の頃からずっと自然なこと。
でも…
昨日あんな別れ方をした。
恭哉だって当たり前に気まずいはず。
今朝は先に行っちゃったかな…。