棘姫

『李羽ー。
もう家出ないと遅刻するよー?』

まだ朝だというのに、一階からお姉ちゃんが大声で私を呼ぶ。


「今、着替えてるのー」

私も負けじと声を返した。





恭哉と由愛。

一度に2人の事を考えたせいで、昨日はあまり寝られなかった。


窓から恭哉の部屋が見える。

カーテンは開いていた。



恭哉と私は毎朝、一緒に登校していた。

これは小学校の頃からずっと自然なこと。



でも…

昨日あんな別れ方をした。

恭哉だって当たり前に気まずいはず。

今朝は先に行っちゃったかな…。


< 101 / 134 >

この作品をシェア

pagetop