棘姫

『えへへ〜。
だって元気がとりえなんやもん。あ、そっちの子、由愛ちゃんのお友達ー?!』

キラキラした期待の眼差しを向けられる。


本当に元気で明るい。

こっちまで自然と緊張感が消えていく。




「初めまして、李羽です」

勇気を出して、自分から声を掛けてみる。

『リウ?
……あなたが李羽ちゃんなんだね!!あたし、一回会いたかったの〜』

興奮したように女の子は一気に話す。

私を知ってるの?




『あたしはミノリっていうの!!
よろしくね。李羽ちゃんのことは由愛ちゃんから聞いてて。ねっ?』

ミノリちゃんが由愛に笑いかけた。

『よ、余計なこと言わなくていいの!!』

由愛は焦ったように頬を赤らめる。



『由愛ちゃんからね、
"すっごく真っ白な女の子と友達になった"って聞いてたんだよ。でも――』


ミノリちゃんは急に真剣な瞳になり、私を真っ直ぐに捕える。

吸い込まれそうな透き通った茶色の瞳。



そしてしばらく私を見つめると、フッ…と軽く微笑んだ。



『本当だったんだね。
由愛ちゃんの言う通り、真っ白な何かを感じるよ。いいなぁ〜…。
ミノリ達とは…全然違う世界を生きてたんだね』

そう言うと、ミノリちゃんは悲しそうに目を伏せた。



"ミノリ達とは…"

この達の中には、由愛も含まれるの?

この子は――
私が知らない、由愛の何かを知ってるんだ。


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