棘姫

『由愛ちゃんも相変わらずやね。確に彼、23歳なの。ミノリより年上だよ。でもね、今までいろんな男を見てきたからこそ…何かが違うって感じられるんだよ』

ミノリちゃんはほんの一瞬だけ、切なげな表情になった。





由愛とミノリちゃん。

２人の会話を聞いてると、胸が締め付けられるような感じになってくる。


２人は性格は正反対のようだけど、感じる空気は同じ。

２人共抱えている傷も同じなのかもしれない。




『心…すごい痛そう』

初めて河原で由愛を見た時に、私が言った言葉。


この言葉は別に考えたわけじゃない。

ただ由愛を見ていたら、自然と浮かんできて…気付けば口に出してしまっていた。



私が全てをいらないと考えているのとは逆のように、由愛は傷付きながらも必死に何かを求めているようだった。


私の知らない世界で、
この子達は必死にもがいて何を求めているのかな…。




『ミノリそろそろ行くね。バイバ〜イ!!』

さっきまでの表情とは一変。

笑顔で大きく手を振りながら、ミノリちゃんは男の人の元へ戻っていった。



『ごめんね？
ムダに元気な子でしょ』

呆れたようだけど、嬉しそうに由愛が言った。



「ううん。
あの明るさにはちょっと憧れるかも」

『えぇ〜？
あたしは李羽がミノリみたいになるのは勘弁ね。さっ、行こっか』

「うんっ!!」