棘姫

いろんなお店を見て回った後、私達はやっぱりいつものファーストフード店に入っていた。


由愛はココア。
私はレモンティーをそれぞれ注文する。


妙に大人びた外見とは違い由愛は甘い物が好き。

苦い物は嫌いでコーヒーとかは飲めないらしい。

逆によく子供っぽいとか、純粋とかって言われる私は甘い物が苦手だった。



本当に正反対。
でも、一緒にいると落ち着く存在。

お互いが反対だけど惹かれ合う、まるで磁石だね。



でもだからこそ、気になって頭から離れてくれないあの噂。

ミノリちゃんにも言われたように、助けられるかどうかは別として、由愛をちゃんと理解したいの。

…本当のことが知りたい。





「ミノリちゃんって、中学校の友達?」

私は唐突にそんな質問をした。


由愛とミノリちゃんから感じた共通点の正体。

それさえ分かれば、あの噂は嘘か本当なのかが分かる気がしたから。



『え?
…なんでそんなこと聞くのよ』

予想した通り、由愛は答えに躊躇っている。

「なんかすっごい仲良さそうだったから。由愛って高校の友達の前では自分を作ってるでしょ?でも、ミノリちゃんには普通に素の部分を出せてたから。信頼してるんだなぁ…って」

『信頼…?
違うよ。そんな綺麗な言葉で言える関係じゃないわ。
"類は友を呼ぶ"って言うでしょ?あたし達の関係はこれね』

皮肉っぽく由愛は笑った。


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