棘姫
外に出ると、
眩しい陽の光に包まれる。
あたしは太陽が嫌い。
そんなに照らさないで…
ホテルの前であたし達は別れた。
昨夜は人で溢れかえっていた光景が嘘のよう。
通りは静まり返っている。
早歩きでその場を去った。
今日は土曜日。
学校が休みだ。
確か、昼からマヤに買い物へ誘われてたな。
マヤは結構良い家柄の子でブランド好きのお嬢様。
いつもあたしにくっついてる子。
マヤが仲良くしてるのは、表面上のあたし。
援交してるなんて知ったら、すぐに離れて行くに決まってる。
こんなバカなあたしを受け入れてくれる子なんて、
突き放さずに叱ってくれる子なんて―‐
きっといない。
ずっとそう思ってた。
堕ちていく一方だと思ってたよ。
今日、
この日。
憎いくらい
真っ青で綺麗な空の下。
あんたに出逢うまでは。