棘姫
『あっれぇ〜、
由愛ちゃん?!!』
大声で誰かに肩をポンと叩かれる。
そこにいたのは頬をほんのり赤く染めた、やけにハイテンションな少女。
――ミノリ。
これが彼女の名前。
あたしと同い年で同じ事をやっていた。
背はあたしより低くて、童顔の可愛い感じの外見。
常にスカートを履いていて、デニムは履かないというのがポリシーだとか。
今日はハーフアップにした髪の下で、誰に貰ったのか分からない見るからに高価なネックレスが輝いていた。
この夜の街で、彼女と出会ったのはいつだっただろうか。
まぁ、そんなことはどうでもいいこと。
でも確かに憶えていることは、初対面の時と比べるとミノリは随分変わってしまった。
メイクも濃くなり、うっすら茶色に染めていた髪も、今ではかなり明るくなってしまったね。
ミノリはこの夜に存在するあたしにとって、唯一の友達と呼べるかもしれない。
"類は友を呼ぶ"
今のあたし達は、まさしくこの状態なんだと思うよ。
「…何、あんた酔ってんの?!」
『やっだな〜。
未成年はお酒飲めませーん!!』
豪快に笑い飛ばすミノリ。
完璧に酔ってんじゃない…。
彼女の大声に反応して、通り行く人々があたし達にチラチラ視線を送る。
なんでこの子は、こうも人目を気にしないでいられるんだろう。
こんなことしてるクセに、あたしは人に注目されることを嫌っていた。
"確かにそこに存在しているけれど、まるでいない人のように扱って欲しい"
そんな自分勝手なことを、常に心のどこかで願っていた。
由愛ちゃん?!!』
大声で誰かに肩をポンと叩かれる。
そこにいたのは頬をほんのり赤く染めた、やけにハイテンションな少女。
――ミノリ。
これが彼女の名前。
あたしと同い年で同じ事をやっていた。
背はあたしより低くて、童顔の可愛い感じの外見。
常にスカートを履いていて、デニムは履かないというのがポリシーだとか。
今日はハーフアップにした髪の下で、誰に貰ったのか分からない見るからに高価なネックレスが輝いていた。
この夜の街で、彼女と出会ったのはいつだっただろうか。
まぁ、そんなことはどうでもいいこと。
でも確かに憶えていることは、初対面の時と比べるとミノリは随分変わってしまった。
メイクも濃くなり、うっすら茶色に染めていた髪も、今ではかなり明るくなってしまったね。
ミノリはこの夜に存在するあたしにとって、唯一の友達と呼べるかもしれない。
"類は友を呼ぶ"
今のあたし達は、まさしくこの状態なんだと思うよ。
「…何、あんた酔ってんの?!」
『やっだな〜。
未成年はお酒飲めませーん!!』
豪快に笑い飛ばすミノリ。
完璧に酔ってんじゃない…。
彼女の大声に反応して、通り行く人々があたし達にチラチラ視線を送る。
なんでこの子は、こうも人目を気にしないでいられるんだろう。
こんなことしてるクセに、あたしは人に注目されることを嫌っていた。
"確かにそこに存在しているけれど、まるでいない人のように扱って欲しい"
そんな自分勝手なことを、常に心のどこかで願っていた。