棘姫
委員会も終わり、相変わらず人気のない廊下を歩く。
教室までの距離がやけに長く感じた。
さっきから嫌な胸騒ぎが消えてくれない。
心のどこかに少しでも、
由愛を疑う気持ちがあるから?
由愛を…信じたいのに。
孤独から自分を助けてくれた友達を信じられないなんて…
本当に、私ってどれだけ酷い子なの?
『委員会、お疲れっ』
俯いていた私に、スッと鞄が差し出された。
「恭哉…?」
『遅いから迎えにきた』
顔を上げると、いつもみたいに笑う恭哉がいた。
「今まで、待っててくれたの?」
『あぁ。
李羽置いて先に帰るなんてしないよ』
「そんな…。
帰っても良かったのに」
恭哉も由愛も、
皆本当に優しいね。
どうして私はこの人達のようになれないの?
『ほら、ボケッとすんなって。帰るよ』
「うん、ありがとう」
心のモヤモヤを消せないまま、私達は学校を後にした。