こちらミクモ探偵事務所5

羽兎はとうとう黙り込んでしまった。
そんな彼女を気にすることなく、紘哉は近くに置いておいたチョコを引き寄せる。

唇を噛み締め、眉をつり上げた羽兎。
背後に炎ような殺気が見える。

「ワトコちゃんパンチ!!」

羽兎が右手の拳を紘哉に向かって振り上げてくる。
紘哉は彼女を一瞥すると、素早く右手で彼女の拳を受け止めた。

バチンと鈍い音がし、羽兎の拳は紘哉の手の中に綺麗に収まった。

同じく、左手でもワトコちゃんパンチを繰り出すも、同じ結果になる。
手を離してくれと暴れる羽兎に、哀れみの目を向ける紘哉。

「……もうちょっと成長したらどうだ?」

「これ以上、どこを成長させろって言うのさ!」

「脳ミソ」

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