こちらミクモ探偵事務所5
「これは……!」
中に入っていたのは、白い粉だった。
それが、薬のように幾つかの袋に小分けしてある。
この粉が、何か分からないほど紘子は小さくない。
彼女は紙袋を閉じ、苦悶の表情を浮かべた。
「あの噂、やっぱり本当だったんだ……」
「何が本当なの?」
「うわああっ!!」
すぐ後ろから声が聞こえてきた。
紘子は跳ね上がり、勢いよく後ろを向いた。
「こんばんは、紘子ちゃん」
「こ、こんばんは……」
昼間とはまた違う雰囲気のイチゴのセールスマン。
今はスーツを着ていない。
「例のモノ、持ってきてくれた?」
「まぁ、一応」
紙袋を持ち上げ、アピールをする。
彼は満足そうに頷いた。
黒い髪の間から見える、左耳についた金色のピアスが外灯に反射し、キラリと光る。