こちらミクモ探偵事務所5
「……まぁ、いいや。ありがとね」
「い、いえ……」
男からどこか黒い、禍々しい空気を感じる。
紘子は早く立ち去りたい一心だった。
しかし、どうしても好奇心には勝てない。
次の瞬間、彼女は男に尋ねていた。
「貴方は……誰なんです?」
「え?オレはしがないセールスマンだよ」
「嘘。そんなハズない」
紘子の言葉に、彼は少し驚いた顔をした。
そして、腕を組んだ。
「何でそう思うのかな?」
「だって、色々と不思議だし。どう考えても、犯罪の片棒を担がされてる気がしてたまらないんだ」
「なるほど、ね……そんなに怪しく見える?」
「怪しい。凄く怪しい」