こちらミクモ探偵事務所5
*
体が揺れる。
と言うより、誰かに揺さぶられている。
「――さん、紘哉さん!」
誰だ、俺の睡眠を妨げる奴は。
紘哉は嫌々に思いながら、重い目蓋を無理矢理開けた。
徐々に焦点が定まってくる。
彼は体を起こし、不機嫌そうな声を出した。
「……何だよワトコ、こんな朝っぱらに」
「大変なんだよ!もうね、ものっすごく大変!」
「デカイ声出すな。頭に響く」
「だって……」
羽兎は、少し泣きそうな顔をしていた。
手には白い携帯電話。
彼女の携帯電話はピンクなので、他人の物だと分かる。
「ハッキリ言えよ。下らない理由で起こしたなら、後で鉄拳制裁だからな」
「うぅ……紘哉さん、機嫌悪い……」