こちらミクモ探偵事務所5
何か言いかけたが、羽兎がもどかしそうに口を閉じる。
「さすがに、裏山となれば私もちょっと手は出せないね」
「やっぱり?だって、俺昔そこで迷子になりかけたし!」
「……」
危ないと分かってて、その危険区に足を踏み入れる馬鹿がここにいた。
紘哉が恵一に哀れみの視線を投げ掛ける。
羽兎と千尋も、呆れたように彼を見た。
「いやぁ、ちっちゃい頃の好奇心っていうやつ?」
「……それで?」
「俺にも少年心はあったわけよ!だからしょうがないんだよ!」
「……それで?」
「うぅ……その問いかけ方やめてしないでくんね」
「何で?」
「地味に傷付くからだよ!」
「だから?」
「こんの……バカ紘哉!」
反論する材料が無くなった恵一は、悔しそうに皆に背を向けた。