こちらミクモ探偵事務所5
羽兎は首を振った。
彼はため息をつくと、自分の荷物を取りに行った。
「それにしても、山だよな」
「まあな。俺も昔はよく遊びに来てたもんだぜ」
そう言いながら、恵一はポストの隣のインターホンを押す。
彼が名乗る。
しばらくすると、玄関のドアが大きく開いた。
「いらっしゃい!久し振りね、ケイちゃん」
恵一を見るなり、その女性は嬉しそうに破顔する。
彼はペコリと頭を下げた。
「おばさん、お久しぶりです。元気でした?」
「元気よ!こないだなんか、友達と海外旅行に行っちゃって……」
彼女はそこまで話すと、あら嫌だと言わんばかりに手を振る。
話好きのオバサンは、どこにでもいるものである。