こちらミクモ探偵事務所5

どうしたらいいのか分からない。
途方に暮れている四人の耳に、ガタゴトと言う音が入った。
家の中から聞こえてくる。

「今何時?」

「何か、もう6時だよ」

羽兎が携帯電話を開いて確認する。
うだうだしているうちに、時間はあっという間に過ぎていったらしい。

千尋は困ったように眉を下げる。

「この時間だったら、そろそろみんな起きてくるよ」

「そうか……」

「お母さん達にバレちゃう!」

「まぁ、そこは上手い具合にはぐらかしておこう」

紘哉の言葉を聞いた途端、千尋が潤んだ目で彼を見た。

「本当……?」

「本当も何も、やるしかない」

「……うん」

「ああ見えてお兄ちゃん、嘘つくの得意なんですよ」

羽兎が嬉々として語る。
紘哉は顔をしかめた。

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