こちらミクモ探偵事務所5

「変なこと言うなよ」

「だって事実じゃん」

ニヤニヤしながら羽兎が言う。
彼女はチラリと裏山を見ると、慌ただしく家の中に入っていった。

「事実じゃねぇよ。変なこと言いやがって」

眠そうに欠伸をし、紘哉も家へ戻った。

残された恵一と千尋。
千尋は玄関のドアを呆然と見ながら、恵一に呼び掛ける。

「……ねぇ、ケイちゃん」

「何?」

凹んでいた恵一が顔をあげる。

「紘哉さんって、彼女とかいるのかな?」

「……ハァ?」

恵一の口から間抜けな声が漏れる。
変な顔で見つめる彼に気付かない千尋は、恥ずかしそうに頬を桜色に染めた。

< 131 / 224 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop