こちらミクモ探偵事務所5
「変なこと言うなよ」
「だって事実じゃん」
ニヤニヤしながら羽兎が言う。
彼女はチラリと裏山を見ると、慌ただしく家の中に入っていった。
「事実じゃねぇよ。変なこと言いやがって」
眠そうに欠伸をし、紘哉も家へ戻った。
残された恵一と千尋。
千尋は玄関のドアを呆然と見ながら、恵一に呼び掛ける。
「……ねぇ、ケイちゃん」
「何?」
凹んでいた恵一が顔をあげる。
「紘哉さんって、彼女とかいるのかな?」
「……ハァ?」
恵一の口から間抜けな声が漏れる。
変な顔で見つめる彼に気付かない千尋は、恥ずかしそうに頬を桜色に染めた。