こちらミクモ探偵事務所5
「いいけど……まだ何か問題でも?」
「いやいや!問題があるワケじゃないんです!
おじさんの事について、話を聞きたいんです」
「夫の……?」
みどりの顔に不安の色が増していく。
彼は慌てて取り繕ったような笑みを浮かべた。
「俺、よく考えたらおじさんの事、よく知らないんです。政治家だって言うのも、この間知ったし」
「あら、そうなの?」
みどりが驚いた顔をする。
恵一は頷いた。
「最後に会ったのが、だいぶ前ですから。その時はまだ、おじさん普通のサラリーマンだった気が……」
「そうね。政治家になったの、四、五年前だったから。あの頃が最高潮だったわ」
「そうなんですか?」
「ええ。まぁ、今も十分幸せだけどね。イチゴのセールスマンさえいなければ、もっと幸せだったでしょうね」