こちらミクモ探偵事務所5
「どうよ紘哉、これで満足?」
「……」
「おーい!ひーろやー?」
恵一が紘哉の前で手を振る。
しかし、彼は腕を組んだまま、何の反応も示さない。
「おいコラァ!俺だってさすがに、シカトされたら凹むよ!」
それでも返事すらしない。
恵一は喚きながら、紘哉の頭を手帳でひっぱたく。
紘哉は顔をゆっくりと恵一の方へ向けた。
「……何だよ」
「何だよじゃねーよっ!アレか?もう俺のボケには、ツッコミも入れる価値すら無いってか?」
「誰がいつそんなこと言ったんだよ」
「おぉ……!じゃあ、まだまだ俺がボケても紘哉がツッコミ入れてくれるんだな!」
「そうだ。正直、ツッコミ入れるのも馬鹿馬鹿しいボケに反応してるんだから、ありがたく思えよ」
「……」
恩着せがましい紘哉。
恵一は、呆気なく紘哉に負けた。